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CMの企画はどうやって考えるの?③

  • takegonta77
  • 7月15日
  • 読了時間: 4分



CMの企画なんて自由だし誰でもできると思います。でも月に複数の案件の企画をたくさん

提出し、それを1年あるいは30年続けるとなると、ある程度の方法を知っておかないと苦しむことになります。というか仕事を失うでしょう。



今はAIの力を借りてラクに企画ができる時代なのかもしれませんが、もしかすると昔ながらの方法を知っておいた方がAIに対してよりアイディアを引き出す投げかけが上手くいくかもしれません。


というわけで、名付けて〝昔ながらのCM企画術〟をお伝えいたします。

とてもシンプルです。




私がアオイプロモーション出身の上司から37年前に叩きこまれたその方法は、何も

上司が考えたオリジナルの方法ではありません。CMの創成期に日本天然色映画という

広告賞を総ナメにして数えきれないほどの名作CMを生んだ制作会社があり、その会社

の〝超売れっ子〟ディレクターから企画部がレクチャーを受けたと言っておりました。



その方法は「ワンビジュアル&ワンコピー」という方法です。



A4一枚の紙にひとつのキービジュアルと、一行のコピーを大書するだけの話で、言ってみれば電車の中にあるポスターのような状態だと思って下さい。


たったそれだけの状態で「おお!」となるアイディアや発見があれば、そこから15秒、30秒、1分のコンテを作ることは超簡単です。

もっともこの場合の〝コピー〟とは言葉遊びや何となくかっこいい語呂合わせのワードではありません。その企画を〝一言で言い表すコンセプトコピー〟です。



商品がまったく新しいもので特徴があればラクですが、大して特徴がないと、新しい

付加価値を感じさせるコンセプトを作ることが必要になってきます。


その言葉とビジュアルが組み合わさって「新しい価値」が生まれたり「気づき」が

生まれた時〝企画〟になります。


ACの広告にはわかりやすい例がよくあります。最近見た広告では〝支援の連鎖〟を訴えた

『助けられた人が、助ける人になる』は優れた気づきの例ではないかなと思います。

支援の連鎖って一口で言うと何だろう?と考え抜いた結果、このコンセプトが生まれたのではなかろうかと私は思います。


これが映像から考え始めてしまうと発見まで辿りつきませんが、コンセプトコピーを思いつけばさまざまな表現案を産み出すことができます。もちろん映像だけでコンセプトになる

場合もありますが。


『どうする? GOする』も優れたコンセプトの広告だと思います。その言葉はコピーライターが考えたものかもしれませんが、もともと企画マンが思いついた時は、

『迷った時は、タクシーGO』だったのかもしれません。でもコンセプトは同じです。

一枚絵は、タクシーを待つ男の前に男が割り込んできて…というワンビジュアルで充分だったはずです。そこからはシリーズとしていくらでも企画ができます。


反対に「これってどうなんだろう?」といつも思うのは『あ、ここにもヒューリック』です。ヒューリックのビルを見上げている男の斜め後ろ姿ですが、言葉にも映像にも

何の発見も感じられません。よく企画が通ったなぁと感心します。つまんないし(笑)。


ちなみに、社長さんやお偉いさんが訳の分からんことを言ってそれがそのまま企画として

世に出る場合もありますから何かあったのかもしれません。


この「結局、ひとことで言うと…」と言うところに辿り着くまでは考え抜くことがポイントになります。ちなにみ私はある程度考え抜いたら酒を飲んで寝てしまったり遊んだりします。で、次の朝起きると企画ができている、ということの繰り返しでした。


これが何でかわからなかったのですが‥「シリコンバレー式 よい休息」という本を読んだらその理由が書いてありました。人間が考え抜いて寝ると、その脳は眠らずに情報を再構築してくれるのだそうです。脳は眠らないのです!


なので、企画を思いついて目が覚める、ということもよくあります。反対に徹夜で考えると脳が再構築する時間がないので良い企画はできず、もともと朝方の私は徹夜はしませんでした。


これについては日本のピーライターの草分けである中畑貴志さんは「コピーライターの実際」という著書の中で、朝起きたら白い紙に「早い話が」と書くのだと言っています。

早い話が———のあとに続いて生まれてきた言葉こそがベストなのだと。


では、次回。

簡単なようで難しいことなので何か例を探してみるとします。
















 
 
 

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