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CMや動画の企画ってどうやるの?①

  • takegonta77
  • 6月19日
  • 読了時間: 3分
完全アウェーの戦いの始まり
完全アウェーの戦いの始まり

1994年にCM制作会社を退社し、フリーのCMプランナーとして独立した私は、まず某大手広告代理店さんの企画会議に参加することになりました。私をそこに連れていったのは某CM制作会社のプロデューサーさんです。



そもそも大手広告代理店のプランナーさんは高学歴のエリート集団です。

私はといえば名もない制作会社出身のそれも目つきの悪い男です。最初から

誰も期待などするはずもなく〝なんだこいつ〟という剣呑な空気感が会議室を満たしておりました。



その時代、フリーの女性プランナーさんはもてはやされておりました。なんたって場が和むし、男は女性の発想には一も二もなく同意するものであります。今もそうかな…?



よりにもよって、というか…よせばいいのにプロデューサーさんが場の空気を変えようと

「日産の奨励賞を受賞されたとても優秀なプランナーさんが独立しました」などと紹介したものですからさらにピンと張り詰めた空気になりました。

※この賞は今はない企画のオープンコンペですが、また別の機会にご紹介します


すると黙って聞いていたCD(クリエーティブディレクター:クリエーティブの最高責任者)

さんがこう言いました。


「よしわかった。それじゃあ君から企画を説明したまえ」



企画会議において最初の一人ほどイヤなものはありません。ウケれば良いのですが、最初に

はずすとそれはもう最悪な展開となる場合もあります。


私が説明を始めると、会議室は水を打ったようにシーンとなりました。ウケるどころか無反応の嵐(笑)です。10案ほどテーブルに置きましたが、もうスベりまくりです。

私の説明が終わると、CDが静かにこう言いました。


そのセリフは生涯忘れ得ぬ言葉となりました。


「よし、超えるべきハードルは低いぞ。みんな頑張れ」



さあそれからというもの、会議室はものすごい熱気に包まれ、中腰になって説明する人、筆でコピーを書き殴る人、唾を飛ばして熱く語る人、もう爆笑の嵐でありました。

中には私と同じ企画を立てた人がいましたが、途中でそれに気づくと「まあ、これはないかな~」とか言って裏返しにして…



そもそも企画会議は自分の企画を何が何でも通そうという圧が強く、ちょっとでもダメな企画があったりすると、虫の息の小動物を踏みつけるがごとく最初につぶしたりもします。

女性などはまったく無責任に「私はまずこれはないと思うなぁ~」などと言ったりもします(マジムカつくぜ)


企画会議が終わって帰り道、プロデューサーは「あんなこと言わせるなよ」と私に言いました。〝あんたが最初にあんな紹介するから〟と思いましたが、黙っておりました。



さて、このあと私がどうなったかというと…



この年だけであらゆるCM制作会社や広告代理店さんから企画の仕事が舞い込み、なんと

96の案件をこなしました。1案件10案以上の企画コンテを描きますから、1000案以上は描いたと思います。


では、そのうち何本の企画が採用され、オンエアされたでしょうか。


それは10本にも満たなかったかもしれません。


990本以上はボツでした。ではなぜそんなボツ企画を立てる男に仕事が来たのでしょうか。私を〝超えるべき低いハードル〟呼ばわりしたCDからもその後何度も声がかかりました。


私が人間的に魅力があったわけでも、笑顔が素敵だったわけではありません。

才能があったわけでもたぶんありません。ましてや話ベタで、当時流行していた鈴木健二さんの「気配りのすすめ」という本で会話術を勉強中でありました(笑)。



では、次回。

何で企画が通らないのに仕事が途切れなかったのか、の話をさせていただきます。

そこにCMや動画の企画を立案するヒントがあるかもしれません
























 
 
 

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